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Hermitage

PBW「シルバーレイン」のキャラクター、渡月・トワヤ(b63279)の日記。この世界をご存知ない方はブラウザバックをお勧めします。

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  posted by at 16:33:08 │EDIT
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さくらいろ

  posted by 渡月・トワヤ at 16:35:37 │EDIT
彼とのデートから帰ってきたボクは、
胸に抱えたままだった小さな紙袋を迷うことなく飾り棚の、一番目立つ場所へと置いた。






店から出て紙袋を渡されたボクは、少しだけ困った顔をして微笑んだ。
彼の気持ちは本当に嬉しい。
けれど、買ってもらう理由が、どうしても見つからない。
彼に予定外の出費をさせてしまった申し訳なさばかりが先に立つから「ごめんな」って言葉が口をついて出そうになる。
でもそれは、彼の想いまでを否定してしまう気がして。
「ありがとう」
と口にしてみたものの、自分の中で折り合いがついていないから無邪気には笑えず、そのことがますます自分を苦しめる。
ボクはいつの間にか、無口になっていた。
「どうした?」
基本的に即断即決のボクが考えこむことなど皆無に等しいからか、彼は少し首を傾げて、ボクの顔を覗き込んだ。
長い時間をこうして寄り添って過ごしてきた彼とは、誰よりも理解しあえているつもりだけれど、わかってくれているはずだというのは、ただの甘え。なんでもないとやり過ごして残るのは、後味の悪さと後悔だけだ。
言葉にしなくちゃ、何も伝わらない。
「うん。あのな……」
上手に言える自信はまったくなかったけれど、彼にはちゃんと聞いてもらいたい。
ボクは背伸びして彼にだけ聞こえるように耳元で囁いた。

「……そうかぁ」
彼は目をぱちくりさせながらしきりに頷き「話してくれてありがとうな」とボクの頭をぽむぽむと撫でた。
言ってくれて良かったよ。
彼の優しい眼差しにそんな言葉が滲んでいるようで、ボクは彼がまたこうしてボクのことを受け止めてくれたことに安堵する。
「じゃあさ、こうしよう」
さらに彼が提案してくれたアイディアは、ボクの思いやワガママを全部包み込んで余りあるもの。
ああ、あなたは。
付き合う前から、ずっとこんなふうにしてくれたよね。
言わなくちゃ何も伝わらないとは思うけれど、ボクは全部を言う必要はなかった。
彼とボクの似ているところ、共通する価値観が、言葉を超えた部分を補ってくれるのかな。
それとも、彼がボクをそれだけちゃんと見つめていてくれていることの証なのだろうか。
愛するってそういうことなのかもしれない(しれっと)

時折思うよ。
口にも出したことがない「いつかこうなったらいいなぁ」っていうような些細な願望ですら、あなたにはなんだか筒抜けみたいなときがあるから、もしかしたらボクの心の声はあなたにはダダ漏れなんじゃないだろうか、って。
それはちっとも嫌なことじゃなく(ちょっと気恥ずかしかったりはするけれど)あなただからいいやって、思える。
そうだ。
だいちだから、嬉しいんだ。
ボクは隣を歩く彼の手をきゅっと握り、今度は心からの笑顔を彼に向けた。そのボクの頬は、きっとさくら色に色づいている。


彼とのデートから自室に帰ってきたボクは、
飾り棚の前に立って小さな紙袋を見つめ、こぼれる笑みを抑えられないでいる。
そしてその頬は、さくら色に染まったままだ。
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