posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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依頼のサポートにボクが出掛けることを聞きつけて、まいおが荷物を抱えて遊びに来てくれた。
「嫁入り前の娘さんが…」
心なしか目を潤ませてる まいお。
ボクの方はもう割りと覚悟完了してんだけどね…
だってほら、踏んじゃっても洗えば済むから。
彼が持ってきてくれた荷物を開けると、ジャージやレインコート、防塵マスクまで入っている!
ボクは嬉しくなって、さっそく着替えることにした。
防塵マスク、首にはスカーフ。
ジャージの上からレインコートを羽織って、足もとは登山靴。
どっからどう見ても怪しすぎるいでたちだ!
「こんな格好でいたら、ぜってぇ職務質問されちまうな…」
さすがにちょっと恥ずかしくなって元の服に着替え直そうとしていたら
「間違っておしゃれ服で出掛けたらショック大きいと思うよ…!」
という。
さすがおしゃれっ子。
勝負服なんか(ないけど)着ていっちゃったら、それこそ精神的ショックがデカいよね…
そう思い直して、出発までの間、その格好で過ごすことに決めた。
ガッコへは、この際、偽身符に行ってもらうことにする。
(イグニッション解除すれば良いじゃない、というツッコミは、聞こえない)
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そんな感じで、なし崩し的に防塵マスクも被ったままでいたら、今度はカナメが遊びに来てくれた。
彼は防塵マスクのまま出迎えたボクを見て、防毒面のが良いんじゃないかと言ってそれでもひとしきり笑い、
「×××を踏むんやってなぁ」←伏字っぽく言っていたがボクにはその物に聞こえてしまったので…
とにまにま笑っている。
「まぁな。別に洗えば済む話だ」
と、玄関に置いておいた登山靴を指で指し示した。
「長靴の方がえぇんちゃうか」
とアドバイスをくれたものの、あいにく長靴はおしゃれなヤツしか持ってないので、登山靴で行くつもりだと話した。
でも、もしかしたら、ゴーストタウンで拾えるかもしれない。
そう思い立って、このいでたちのまま出掛けることにしたボクを、カナメはまた笑う。
「ふん、笑いたければ笑え。今は装備もアビリティもフルスペックじゃねぇからな。
…後は頼んだぜっ!」
彼の肩にぽんと手を乗せ、ボクはとびきりの笑顔で笑いかける。
「他力本願!?」
「まぁ、そう言うなって」
にまにま笑って彼の腕を取り、半ば強引にゴーストタウンへ。
…やはりというか、なんというか。
ボクはすぐに使い物にならなくなったのだった。
あと は 任せ た ぜ…(ぱたり
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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運動会が無事に終わった。
ボクの所属する8H百合連合は、午前中に飛ばした所為か棒倒しで標的になってしまい、8位にまで落ちた。しかし3ターン目での巻き返しにて、最終順位は4位となったそうだ。
~だそうだ、と言うのも、ボクは午前中こそ参加できたが、昼ごはん後に飲んだ風邪薬が効きすぎて倒れてしまい、午後はまるまる救護室で臥せっていたので、クライマックスに参加できなかったという体たらくで。
ちなみに優勝チームは、カナメやシェリ子が属する4D椿連合だったようだ。
…あぁ、あとで祝いを言いに行こうか。
参加した競技でもボクはあまりにも貢献できなかったので、打ち上げ会場の隅で小さく丸まって地味にジュースを飲んでいると
「あっ、トワヤくん!お疲れさんー!」
ボクの名を呼ぶ声に顔を上げると、五十鈴がジュースの入ったコップを手に、立っていた。
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棒倒しの巻き返しの件、実は五十鈴から聞いた話の受け売りだったりする。
「でも、楽しかった!燃え尽きちゃった感じだよー」
五十鈴は晴れ晴れとした顔をしている。
彼は打ち合わせにも積極的に顔を出していたし、今日も朝早くから、頑張ってたもんなぁ。
うんうん、と彼の言葉に相槌を打っていると
突然、五十鈴は思いだしたように
「そうだ。実はトワヤくんに頼みたいことがあってね…」
と、少し遠慮がちに切りだした。
その様子がいつもと少し違う気がしてボクも自然、神妙な顔になる。
「ボクでできることなら良いんだけど」
「うん、それは大丈夫」
そう言って彼はボクを教室へ連れ出した。
「…依頼?」
ゴースト退治の依頼が、時折教室へ届けられる。
五十鈴は今回、その依頼に出掛けるらしいんだけど、そこでボクのチカラが必要だそうなのだ。
所謂、サポート要請。
今回の五十鈴の頼みごととは、それだったのだ。
ボクは、こうした特別な依頼を自身で受けたことはないし、サポートを要請されることもなかった。
初めてのことってすっごくドキドキする反面、テンションは跳ね上がる。
「うん!ボクで良ければぜひに」
思いのほか乗り気になったボクに、逆に五十鈴が怯んだ。
「ホントに良いの?ネタっぽいけど…」
「は?ネタ?」
その依頼内容を良く良く見てみると、「ウン」を全員が踏むのがどうの、「ウン」を投げるヤツが居るだの…と書いてある。
「…ウン、てあのウン?」
「うん、あのウン」
少しトーンダウンしたボクにつられるように、五十鈴も若干小声になる。
「…うーむ。。。」
少し考え込んではみたものの、どうとでもなれ的な気持ちもボクにはあって。
「OK、ボクで良けりゃ、全力でサポートさせてもらうよ」
(一応)ボクだって女の端くれ。
ウンを踏むことを快諾するとは思ってなかったんだろう。
逆に五十鈴の方が
「えっ!?ホントに良いの?」
と驚いている。
「あぁ、構わんよ。どうせ今更…」と半ば独りごちて、ボクは少し笑ってみせた。
ボクの言葉に少し引っかかりを持ったのか五十鈴は、
相談ごとなら話を聞いてあげるからねと言ってくれた。
彼は法師見習いだから、人を安心させる話の仕方を覚えないといけない、のだそうだ。
骨になってしまったお師匠さまからも、ずいぶん熱心な指導をされているらしい。
その話に、ボクは師弟愛を感じずには居られない。
「ありがとうな」
ボクは少し心に引っかかってたことを訊いてみる。
並んだ事象を並べて、それを自分に都合よく解釈しているだけじゃないだろうかと不安に駆られることもある。
だけどそれを確かめるほどの勇気が、ボクには未だなくて、宙ぶらりんの気持ち。
「きっと大丈夫だよ。それで良いと思う」
五十鈴はボクの背をぽんと叩いて、そう言ってくれた。
「うん、ありがとな」
良い友人に巡りあえたものだなと感慨深く、ボクはもう一度彼に、今度は心からの笑顔を向けた。
posted by 渡月・トワヤ
at 17:25:00 │
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今日も手すりに凭れて、風に吹かれる。
台風が過ぎてからこっち、急に寒さが増したようで。
秋の空気感は、センチメンタルにさせていけない。
でも、ボクは。
前を向くしか能がないから。
然らば走れ、走れ若人よ。
時を惜しみて走りゆけ。
なーんてセリフが、なんかの漫画に書いてあったなぁ…
ぎゅるるるる、と腹の虫が鳴く。
今日もボクは、こうして此処で生きている。
posted by 渡月・トワヤ
at 16:43:42 │
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軽く炒った豆をゴリゴリと挽いて、コーヒーを淹れる午後。
床にごろりと寝転がって、
琥珀色の液体の、
ぽたりぽたりと滴りを 見るとはなしに見ていると
ついうっかりと、眠ってしまいそう。
開け放した窓から部屋へと滑りこむ風は、些か冷たく、
コーヒーの香りをかき抱き、溶けあう。
ボクは、この冷たい風が、どういうワケか好きだ。
実家に居た時もこの季節になると、客間の窓を開け放って畳の上でごろりと寝転がってたので、母からは「風邪をひくからやめなさい」としょっちゅう言われていた。
しかし虚弱体質のわりには(冬生まれの強さか?)身体を冷やして風邪をひいたという記憶がないボクはここぞとばかりに、
「バカは風邪ひかないって言うもんー」
とへらへら笑って、畳の感触を楽しむべく、ごろごろ寝返りを続けていたっけなぁ。
ピーッ、ピーッ
2回鳴る電子音に我に返る。
コーヒーが入った合図。
気に入りのマグカップで作るカフェオレ。
ちびちびと飲みながら、空、遠く流れる雲を眺めた。
これからのこと、いろんなことを考えながら。
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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今夜半には、強風域へ入るだろう。
天気予報は、そう告げている。
これ以上、台風が近づけば、出歩くのはただの莫迦。
今のうちだ。
ボクは屋上へ駆け上り、手すりまで猛ダッシュ!
ガシャン!と手すりを鳴らしてぶつかるように捕まると、
空を振り仰いで、雲の流れを見る。
強い、強い風が吹いている。
髪の毛をかき乱されても、気にならない。
むしろ、その風の匂いは、地元で慣れ親しんだあの風と同じ気がした。
「 」
思わず叫んだボクの声は、その唸りにかき消された。