posted by 渡月・トワヤ
at 14:58:39 │
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雨が降っている。
テストで通常より早く学校は終わるから、多分下校時にはまだ傘が必要だろう。
なんだかとても久しぶりの雨降りではないだろうか。
今年の梅雨は例年に比べて長く、結果、夏は短くなり、
気づけばもう秋の足音が聞こえてきている。
思い返すと今年の夏は夕立が少なかったなぁ。
夏は暑すぎて弱っちゃうけれど、
夕立とその後に吹く風の匂いは、嫌いではない。
雨といえば必ず思い出す、小さい頃の夕暮れの出来事。
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あれは、ボクが小学校に上がったころだったろうか。
幼馴染の家から自宅までは勾配の急な坂道だったけれど、子供の足でも1分もかからない距離だった。
ボクは一人でその道を下っていたから、多分その子の家から自宅へ帰る途中だったのだろう。
ボクの実家は高台の団地にある。
海そのものは見えずとも周囲に遮るものがない所為で、海からの風がいつも渡ってくる。
海から吹きつけるその強い風は、その坂道を駆け上って空に還るのだ。
この歳になっても、ちょっとヒールのある靴なんて履いて下れば、前に倒れてしまうような心持ちになる程の坂道。
小さい頃のボクにとって此処は、一種の難関だった。
一度こけてしまえば、後は一気にコロコロっと転がってしまいそうに思えて、いつも慎重にならざるを得ない。
その日も身体全体で風を受けながら、一歩一歩と下っていた。
「あれ?」
熱せられたアスファルトが冷やされたあの匂いが鼻先に届くのと、
背後から、パラパラっと地面を打つ音が聞こえてくるのがほぼ同時だった。
振り返ったボクの目に映ったのは、
その手をボクへと伸ばしながら、アスファルトを濡らし始めた雨の端。
「ぅわ、わ、わぁぁー!」
と転がるようにしてヘアピンカーブへ続く坂道を駆け抜け、自宅へと飛び込んだ。
結局そのカーブによって(一瞬でも)雨雲に向かう形になっちゃったから、濡れてしまったんだけれど。
下校時になっても、やはり雨は降り続いていた。
雨の日はいつも、この雨に追われた幼いあの日の自分を思いだして、可笑しくなる。
今日も雨。
ボクは傘に隠れるようにして、一人笑った。
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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ザ☆一夜漬け続行中、イェアー!
(無駄に気合いが入っている)
知恵熱を出しそうになりながらも一段落したので、
コーヒーカップに手を伸ばし、棚から便箋を取りだす。
濃青のボールペンで、さらさらっと書き始めるのは、1通の手紙。
『 サヤカへ
手紙をありがとう。
住所を教え忘れるという、不義理をしてしまってごめんな。
「いつものことだ」って笑って許してくれて、感謝してる。
そっちは、元気にやってるみたいだね。
まぁ、サヤカならどこでも上手くやっていけるんだろうけどさ。
とにかく、安心だ。
そっちを離れて、もう半年経つんだよなぁ。
毎日忙しくしてる所為か知らないけれど、本当にあっという間だった気がするよ。
こっちは、学校がめちゃくちゃデカくって生徒もホントに個性豊かというか…
まぁ、良い学校だと思う。
来て良かった。
そうそう、気の合う友だちも、できたんだ。
ボクにしてみたら、かなりの進歩だと思わないか?
住まいは、学校がアッセンしてくれた下宿に落ち着いたよ。
下宿っつっても雑居ビルみたいな風体で、1ルームマンションに近いかなぁ。
プライバシーが確保されてるから、気を張らないで居られるのが嬉しい。
あと、1Fにはコンビニとかコインランドリーなんかがあって便利だし立地条件も悪くない。
今度、遊びにおいでよ。
鎌倉の街を、案内してあげる。
…と言っても、知らないことのが多すぎるけどな。
それじゃ、元気で。
また手紙を書くよ。
いきなりで悪いが今度の連休そっちに帰るから、良かったら会わないか? トワヤより 』
便箋と揃いの封筒に入れ、切手を貼って。
確か、コンビニの前にポストがあった。
毎日通っているとそれが日常の風景に溶け込みすぎて、逆に曖昧になっていくものなんだなぁ。
変な感慨を覚えながら、サンダルを引っ掛けて、ちょっとそこまで。
帰って来たら、また、残りの教科のノートを纏めないと、だな。
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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テスト勉強そっちのけで、調べ物をしてしまった…!
…勉強はあとでやる、やりますよ。ハイハイ←
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「幾望」
キボウ、と読む。
十四夜の月の別称である。
幾、という言葉には「もう少し」という意味もあるそうだ。
幾つもの希望。
月満つるまでは、もう少し。
月には不思議な魔力が宿るという。
ボクもその魔力にあやかって、その名を冠した魔道書を得ることにした。
さぁて、勉強勉強!
テスト前ぐらいは、きっちりやっとかねーとな!
…とその前に、コーヒーを淹れよっと(いそいそとコーヒー豆を炒りだす
posted by 渡月・トワヤ
at 16:30:30 │
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「…あれ?」
もうちょっとこのままで居たら、きっとウトウトと午睡をしてしまいそうなけだるい午後。
"Flowers"と書かれた図鑑を眺めていたボクは、あるページで、その手を止める。
その花を見たことがないはずなのに覚えているという、なんとも不思議な感覚に襲われたからだ。
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紫がかった青色の、繊細な花弁が放射線状にひらひらと広がっていて
とても可愛らしい花がそれだった。
おかしいな、知らないのに、でも確かに知ってる。
うーん、と唸り、次のページを繰る手が、次へ行こうとして、また戻って、を繰り返し動かない。
名前は「cornflower」と記されていた。
聞いたこともない名前だったし、
実際「コーンフラワーって読み方で良いんだろうか」と悩むような、そんなレベル。
でもなんだか、この花を見ていると懐かしさがじわっと甦ってくるみたいで、自然、笑顔になっていた。
ボクはふっと思い立ってPCを立ち上げ、cornflowerの意味を調べてみる。
求める答えは、すぐに表示された。
和名、矢車菊というのが、それだった。
名前を知ったところで、なぜこの花がボクのこの心を掻き立てるのか、皆目見当がつかない。
「うーむ」
再び唸ると、本を開いたまま、ごろりと床に仰向けに転がって、少しひんやりする空気に目を閉じた。
・
・
・
いつの間にかボクは、そのままの格好で眠ってしまったらしい。
はっと気づいて、身体を起こす。
一瞬、此処がどこか判らず、まだ少し重い瞼の隙間から、きょろきょろと部屋の様子をうかがった。
それで、あぁ此処は鎌倉の紫陽花会館だったと思い至り、ほぅと息を吐いた。
もうこんな時間か。
ボクは開いたままだった図鑑を閉じて本棚に仕舞うと、
コインランドリーへ、洗濯物を取り込みに向かった。
その胸のうちにはずっと、小さく青い花が揺れている。
posted by 渡月・トワヤ
at 01:00:00 │
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黙示録に参加するようになり、本格的にアビリティの見直しをはじめる。
積み込めば良いわけでなく、より吟味して、高みへ。
量より質を取り、その分、防具に余裕が生まれる。
お気に入りのライダースジャケットタイプのワンピもクローゼットに仕舞って、高校の夏服に袖を通す。
寒さは気合いで吹き飛ばすのだっ!(ふんと鼻息荒く
兵器に関しても同じことが言える。
ブーメランは好きだけど…実戦では少々頼りない。
壁一面のブーメランコレクションに、機械仕掛の三日月と、殯ノ笛も加えた。
…うん。
心の整理をして、それから、書棚から取り出したのは、一冊の魔道書。
「イグニッション!」
手に取り念じれば、その本はぼんやりと淡く白い光を放ちだす。
それ自体に魔法の力が込められているのだ。
これなら、ボクの潜在能力を引きだしてくれ、いざというとき楯にもなるし、
面倒ならばいっそこれでシバいても良い←
さて、出掛けるか。
顔をあげて、ボクは一人、夜の闇へと向かっていった。