posted by 渡月・トワヤ
at 19:41:38 │
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「隣のとなりの県か。通うのは大変そうだよな…」
心配そうな彼の言葉に、ボクはきょとんとする。
…(公共交通機関発展途上の)地元に比べたら、こっちは天国なんだけどなぁ。
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ボクは、電車に乗るのが好きだ。先に断わっておくがボクは別に「鉄子」ではない。
話はボクが生まれ育った町から始まる。
その町(市)は公共交通機関が路線バスしかない。まぁそれでも、ボクの実家があるあたりはバスは10分置きぐらいには運行している市街地だったけれど、最寄の鉄道駅は自宅付近のバス停からバスで20分かかる。しかもJRのみ。
中学生レベルの移動では、基本徒歩orチャリ。少し遠出するならバスか家族の運転する車でという選択肢。いずれにしても電車とは縁遠く育ってしまった。
事故さえなければダイヤ通りに運行するというその安心感たるや!
鎌倉に住まうようになってから、まず情緒あふれる江ノ電にときめいた。それから私鉄の路線の多さにも感動した。
高校生だという自覚はあるから、利用しているときも何の気なしの顔をしてはいるけれど、内心はいつだって、電車に乗るたびにワクワクソワソワしている。実は今だってそうだ。(…)
通うのが大変ったって、2時間ぐらいのもんだろ?
7時ぐらいに出れば間に合うんじゃないのかなぁ…
今だって朝6時前には起きる生活をしているから、苦にはならないはず。
なにより、やりたいことをやれるようになるための勉強に通うのだ。力も入るというもの。
ボクはこの4月から通う学校の最寄駅を調べるため、入学案内の資料をぱらぱらっとめくり、そして。
…?
感じる違和感。
「ね、ボク。埼玉って言ったよな?」
隣に座っていた彼にそう訊ねる。彼はボクの言葉に少し首を傾げたものの、こくこくと頷いた。
──うーん。
ボクはずるずる、とベッドに預けていた背を滑らせてるように床に仰向いて、資料で顔をこっそり隠した。
穴があったら入りたい・・・。
うわぁぁ、なんでボクは埼玉って言ったんだろうか?
自分で自分がアメージング。
案内資料の学校所在地は、千葉県××市となっていたからだ。
何時の間に移転した・・・んなワケないよな。
まぁ、東京の向こう側だもんなー。千葉でも隣のとなりの県に違いない。だからきっと間違っちゃったんだ。
(なんとなく、言い訳をしている。春から大学生なのに、本当に大丈夫か?この子(汗)
posted by 渡月・トワヤ
at 13:27:55 │
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好きなもの。
ボクの好きなもの。
空。 風。 花。 本。
……うーん。
好きなものから連想するって、案外難しいもんだな。
ハナから、上手に焼けないビハインド。
これじゃ、試験に落っこちまうかもしれないー(汗)
posted by 渡月・トワヤ
at 23:50:12 │
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バレンタインのチョコのお返しに、と彼がプレゼントしてくれたのはロールケーキ!
「見栄えは悪いけど」
その言葉にボクは首を傾げる。
たしかにパティスリーで売られているような華美な雰囲気はないけれど、とりたててイビツというわけでもないし、じゅうぶん美味しそうだ。どちらかというとドイツ菓子のような実直さがあるというか。ボクはそういうのキライじゃないから。
ボクの不思議そうな顔を見て、彼は少し恥ずかしそうに付け加える。
「それ、手作りだから。けれど、隠し味はバッチリだぜ!」
え、えぇ!?
ボクは瞠目し、手に持っていたケーキを二度見した。
ロールケーキを手作りするなんてすごいよ!
ボクなんて、シフォンケーキしか焼けないもの。
「すごいね!だいちって器用だよねぇ…」
ボクは彼を尊敬の眼差しで熱く見つめ、それから「ほわぁ…」と溜息を漏らしながら、目の高さまで持ち上げたケーキをしげしげと眺めた。
なんだか食べるのがもったいないけれど。せっかくだから一口いただくことにする。
きめ細かなスポンジのふわりとした柔らかさ。
クリームのやさしい甘さは程よくて、ボクは相好を崩した。
「すごく美味しい…嬉しい、ありがとう!」
ボクは嬉しさのあまり鼻の奥がツンとしたのをぐっとこらえて、殊更ゆっくりと咀嚼した。
この優しい甘さはボクの優しさだと彼は言ってくれたけれど。
ボクは彼が言うほど優しくないし、彼の方がよほど優しいと思うんだけどなぁ。
とまれ、このロールケーキ。
全部食べてしまうのがもったいない気もする。
むむぅ、困った…!!
翌日の午後。
傷むといけないので、トワヤはきちんと、美味しく全部を当然一人で平らげました。
お供は、以前彼からいただいた、無醗酵紅茶。
トワヤ史上稀に見る至福の(部屋でひとり、デレデレしっぱなしの)おやつタイムだったようです。
いただいた後は、食べる前に写メっておいた写真をプリントアウトし手帳に貼りつけたうえで、なにやら書き記したり、マスキングテープやカラフルなペンでデコったり…
昨日のページはエライことになっているようです(笑)←私にも見せてくれなかった。
トワヤへの、とても幸福な贈り物を、本当にありがとうございました。
posted by 渡月・トワヤ
at 12:42:34 │
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「ただいま~。ひさしぶり!」
その声にはっと顔を上げて、次の瞬間。
ボクは、顔がくしゃくしゃになるほどの笑顔になって、わぁーと両手を広げて飛び上がり、その身体に抱きついていた。
「おかえり!逢いたかった…!」
きっとボクに尻尾が生えていたら、ちぎれんばかりに振って喜びを表してると思う。
まぁ、尻尾が生えていなくても、すでにもう充分わんこみたいだなって自分でも思うけれど。
構うもんか(ぶんぶん♪
posted by 渡月・トワヤ
at 14:35:39 │
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見上げれば、今にも雪が降ってきそうな曇り空だった。
吹きつけてくる風はとても冷たく乾いていて。
ボクの鼻の頭も耳の先っぽも感覚は遠くなっており、なんだかボクの顔にただくっついているだけみたいに思えた。コートのポケットに突っ込んでいた手で、鼻の頭に触れてみる。やっぱり、本当にくっついている作り物みたいだ。だって、とても冷たくて、氷みたいなんだもの。
──もう3月なのになぁ。
ふぅ、と吐き出す息が目の前で一瞬だけ白く湯気になって、すぐに消えた。
ボクはもう一度、空を仰ぐ。
あ。
ボクの目に入ったのは、張り出した枝にいっぱいの、空へとまっすぐに伸びる大きな蕾。見間違うことなどない、だってそれはボクの大好きな木蓮のものなのだから。
今日は、こんなに寒いのになぁ。
自然はちゃぁんと春の訪れを解っていて、誰に言われるでもなく花を咲かせる準備をしているのだ。
なんだかいろんな気持ちや想いが一気に胸に押し寄せてきてあふれ出しそうで、ボクはあわてた。
喜ばしいのに、
寂しくて、
どこか哀しくて、
でもやっぱり嬉しいような。
こんなとき、どんな顔をしたらいいのだろうと思案に暮れる。
しゅん、と鼻をすすったのは冷えすぎて鼻の感覚がなくなってしまっているからだ。決して泣いてるからじゃない。
誰にするでもなく言い訳をする。どっちみち、ボクの鼻の頭は真っ赤っかだろうけれど。
ボクは目を細めて、蕾がびっしりついた枝をしばらくの間見上げていた。
──来年の木蓮の蕾の季節にも、あるいはボクは。
ボクは頭をぶるぶるっと振る。くだらない考えをふるい落とすように。
もうすぐ、春がやってくるね。
ボクはまたきゅっと口を引き結ぶと、前へ向かって歩き出す。