posted by 渡月・トワヤ
at 00:37:19 │
EDIT
「9月も、どこかへ一緒に行きたいと思っていたから」
そう言って、誘いに応じてくれて嬉しかった。
一年に一度着れたらいいかなぁと思っていた浴衣を、
今年は結局、2回も着れることになって、
それもまた、ボクが喜んでいる理由のひとつ。
落ち着いた浅黄の地に、
きらめく川で水浴びをするかのように舞う蝶々の柄。
鮮やかな黄色の帯を締めたら、背筋がシャンと伸びる。
ボクは浴衣に袖を通すと、パリッとした生地を手のひらで撫でおろした。
浴衣の肌触りは、鬼灯市でのあなたの言葉を思い出させて、ボクは少し頬を赤らめる。
今年の浴衣は、これで着納め、かな。
出かける先は、海の近くの草原。
時折潮騒に耳を傾け、月を見上げたりして。
早秋の夜の気配に包まれて、二人でゆっくりと歩いて過ごせたらいいな。
PR
posted by 渡月・トワヤ
at 12:10:03 │
EDIT
12日は満月だ。
その日の天気予報は、曇り時々晴れ。うーん微妙。
きれいな月が見れたらいいんだけれど。
教室でもお月見会のお誘いの貼り紙が何枚か貼り出されていて、ボクは心が揺れている。
受験生だから、自重すべき?
たまには息抜きもしたいし、彼と一緒に過ごしたいんだけど、仕事が忙しそうだから、無理かなぁ。
まぁ、いいや。出かけるのは受験が終わってからでもできるもんな。
ぼちぼち小望月。
今夜、屋上でプチ月見でもいいな。
彼を誘って、
あったかいお茶を魔法瓶で準備して、
みたらし団子も買って帰ろうかな。
おでかけしたいのはやまやまだけど、つきつめれば彼と一緒の時間を過ごしたいだけなんだ。それに、彼と見る月ならばどこで見たって綺麗に決まってるから、場所なんて本当は、どこでもいいんだよね。
寄り添うように、
(できれば手もつないで)
月を見上げる。
会話なんて、
「きれいだな」
「そうだな」
ぐらいでちょうどいい。
冷たくて柔らかい
銀色の光がさらさらと
降り続くようなしずけさの中で、
隣に彼が居てくれるなら、
それだけで、ボクの心は、
ぽぅっと火が灯るように、暖かい。
ボクが望んでるのは、つまり、そういうことだ。
うーん、やっぱりボクは単純なのかなぁ。
posted by 渡月・トワヤ
at 17:19:58 │
EDIT
プールの地下で行われているバトルカーニバル、ボクらのチームの初戦。
「…あーっ!」
相手チームのメンバ表を見て、ボクは声を上げる。
まさかこんなトコで、二人に会えるなんて思いもしなかった!
こういうのって、なんか嬉しい。
二人ともボクよりレベル高いからなぁ。
胸を借りるつもりで、いざ、勝負!!
ボクは初手で自身の魔力を高めるため、前方の空中に魔方陣を描きつつ……ニヤ。
勝つ気でいってるよ!
いつだって本気だよ!
フザけてなんかないよー!
でも頬が勝手に緩むんだもん!
posted by 渡月・トワヤ
at 12:30:41 │
EDIT
見上げた空はあまりにも高く
色の抜けた青が、ずいぶんと目に沁みて。
ボクは思わず目を閉じた。
忘れない。
きっかけがなんであれ、
いきさつがどうであれ、
結局は前へ進むことしかできないボクが決めたことなのだから。
posted by 渡月・トワヤ
at 19:29:41 │
EDIT
ボクの首元に光るのは、ごく細いシンプルなシルバーのネックレス。
まぁ、ボクの小遣いで買えるものだから、高価ではない。(でも一応silver925)
けれど、これは、金額の大小が問題ではないのだ。
「いつでも使っていいからな」
微笑みながらそう言われ手にやさしく握らされたものを見て、ボクは自分の頬にさっと朱がさすのを感じた。
それを渡されるということ自体が彼から「お前は特別だよ」と言われたようでもあって素直に嬉しかったし、微笑む彼に見惚れていたのも事実。ボクは彼のゆったりとした微笑みがすきだ。
ただ、使っていい、と言われたところで、具体的にどんなときに使ったらいいのか、本当のところ、ボクはよく判っていなかったりもするんだけれど。
それでも、ボクはこのてのひらに包んだモノに、彼の想いが込められている気がして、とにかく嬉しかった。
彼の言に小さく頷いて
「わかった。ありがとな」
と微笑み返す。
気がつけば、彼と恋人同士になって1ヶ月。
「え、まだそんなもの?」と思わず言ってしまいそうになる。
あまりそういう実感が湧かないのは、それ以前とさほど付き合い方に変わりがないように感じられるからだろうか。
周囲に恋人同士だと認められてはいるものの、彼とボクとのふたりの関係性についていえば、彼はこうなる前からずっと一貫してボクを大切にしてくれていたから、よけいにそう思えるのかもしれない。
ただ、安心感についてだけ言えば、以前の比ではないほど大きくて。
これも、その安心感のひとつ…と言えるかもしれない。
ボクは再度、手のひらに包んだそれを見つめる。
たとえばボクのこころがグラグラとゆれ、何かを見失いそうになってしまったなら、おそらく彼は、躊躇なくその両腕をボクへと差しのべて受け止めてくれるだろう。
頼られることが多かっただけに誰かに頼るのは苦手なボクだけれど、彼の頼もしさは、そんな苦手意識さえいつか吹き飛ばしてくれるような気がしてる。
だって、ボクが今日も笑顔でいられるのは、彼が傍に居てくれるからに他ならなくて。
こんなにしあわせなことが、ほかにあるだろうか。
次の日、ボクはシルバーの細いシンプルなネックレスを買った。
ボクの小遣いで買えるほどのそれは決して高価なものではないけれど、値段の問題ではない。
ボクは彼からの贈り物をその銀の鎖に通して首からぶら下げ、服の上からそぅっと握った。
これは、ボクが笑顔でいられるお守りだから、
肌身離さず持っていたいんだ。