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帰りたい場所は、ただひとつ。
今は、ただそのためだけに、
尊く清き風を、吹かせるのみだ。
履きなれたブーツ。
手に馴染んだブーメラン。
いつも持ち歩いてるのは、去年の誕生日に友だちがくれた、蓮の花の彫り物がしてある、懐中時計。
ボクは蓋を開くと、丁寧に折りたたんだ紙を一片、その中に仕舞いこみ、ぱちり、と閉じた。
これはきっと、ボクの命を繋いでくれるお守りになってくれるに違いない。
祈りにも似た願いは、どの空の下でも変わらない。
…明らかに選曲ミスだ!
こんなときにこんな曲、聞くもんじゃない。
なんとなく懐かしくなって、地元に居たころによく聴いていたアーティストのCDを引っ張り出して、聴いていたんだけど、やっちまった感ひしひし。
音楽って、不思議だ。
聴かなくなって久しくても、簡単に色々なものを記憶の引き出しから取り出せちまう。
曲と一緒に取り出されるものは、当時の感情や匂いなんかの、諸々な付属品。
だいぶ、当時から時間が経っていたおかげで、
その感情は生々しくはなかったものの、なんだかこう~……胸の中で、黒と灰色のどろりとした液体がぐるぐると渦を巻いている感じの…なんともいや~な感情の残骸だけが、浮かび上がる。
もうちょっとハッピーなヤツ、聴いとこう。
携帯プレーヤーにも入れておこう。
(そそくさとCDを入れ替えた)
「うん。さみしい」
そんなふうに、友だちの呟いた一言に、ボクははっとした。
己のそういう感情に対しては、ボクはすぐにダンマリを決め込んでしまう。
それは、もう、幼いときからのクセみたいなもんで、
甘えることがニガテなボクは、マイナスな感情をたとえ自覚したとしても、できるだけ気づかないフリをしてやりすごすようになっていた。
だから、口にする瞬間は、もはや手遅れ。
まさしく、臨界点突破と呼ぶに相応しいもので、
そうなると──自分で言うのもなんだけど──ちょっと(いやかなり)厄介だ。
ボクも、そうやってすぅっと自然に「寂しい」といえたなら。
今とは違う自分になっていたんだろうか?
だからこそ、ちゃんと口に出して言える君が、
ボクには少しまぶしかったんよ。
でも、もう少し待っておいで。
きっと近いうちにその寂しさは、霧が晴れるように、消えちゃう日がくるから。
それまでは少し、楽しい夢の話でも、ボクと一緒にしていよう。