posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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夕暮れを待ち、あおを連れてゴーストタウンに潜入した。
使役を連れる場合には、自身へ相応のハンディがあるとは聞いていた。
それもあって、今まで使役というものに見向きもしなかったんだ。
ボク自身がまだまだ弱っちぃひよっこだったし、そこまでする必要性を感じなかったのもあったから。
けれど実際、あおを連れることになったワケで。
人生なんて、わからない。
しかも、あおの顔を一目見れば、今まで億劫に思っていたハンディは、屁でもない。
特にボクは風詠みの後衛ということも幸いしているんだろう。
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「魔力供給」や「祈り」は本当に助かるんだけど、如何せん、あおには体力がなさすぎる。
ゴーストの標的にされちゃうと、ひとたまりもない。
あおは、あんなに小さいのに、レイピア片手に勇猛果敢にゴーストへと突撃をかますのだ。
返り討ちにあい、あっけないほど簡単に吹っ飛ばされて戦線離脱・・・
「ボクの手に、あおへの"祈り"のアビリティを…!!!」
(声にならない、心の叫び)
今日も、一緒してくれる仲間のおかげでゴーストタウンに巣食うヤツらは祓うことができたけれど、ボクのココロのもやは晴れないまんま。
くったりとしたあおを抱えて、イグニッションを解除すると、
誰にも気づかれないよう小さくため息をつき、
「んじゃ、またな~」
と仲間たちに手を振って、家路についた。
「さて、どうすっかなぁ?」
帰宅したボクは、テーブルに肘をついてイグニッションカードを見つめ、考えていた。
あんな小さなナリ(少ない体力)で、ゴーストへ向かってくその根性はまぁ誉めてもいいけれど、あんまり賢いやり方じゃないよなぁ。
後衛のボクのそばにずっと居ればいいのに──。
あっ!
そういえばケットシーって、進化すればケットシー・ガンナーになるんだったっけ。
ガンナーっていえば、読んで字の如し。
拳銃を扱うんじゃなかったっけなぁ。
図書館の資料をめくれば確かに、ガンナーは二丁の拳銃を自在に操り「主人を陰から守る」とある。
「陰から」…!
自分にない素養だからか、そのフレーズにめっぽう弱いボクだった…
若干、自分の能力に不安は残るものの、
これから何度も、あおの痛々しい姿を見るなんて、想像するだけでもイヤだ。
ガンナーになれば、若干ではあるものの、生き延びる率は上がるだろうし、そしたらきっと冒険や狩りやプールに一緒に行く仲間へも、もっと貢献できるんじゃないかな。
そんなこんなで、ぬるい風の吹く夜半。
昼間の熱気がまだ残る屋上で、あおはケットシーからケットシー・ガンナーに進化を遂げた。
posted by 渡月・トワヤ
at 23:35:13 │
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夕方、迷いながら帰宅したものの、やっぱりそれってボクらしくないなぁ…と、
風呂上りに久方ぶりの屋上に上がって、星空を眺めながら思った。
「えいやっ」って飛び込んで、ダメだったならダメでいいじゃないか。
やらなかった後悔より、やった後悔をボクは選ぶ。
…若干、何かが後ろ向きのような気もするけれど、気にしてはいけない。
連日晴れの日が続くから、星空も、月もきれい。
よし、これから部屋に帰って、お誘いのお手紙、書こうっと…!
posted by 渡月・トワヤ
at 16:05:32 │
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教室の前、一枚のチラシに目を留めると、ボクはしばらく動けなくなった。
こんなおでかけイベントがあったらいいなって思っていた、まさにそういうイベントが、今目の前でひらりと微風に揺れるチラシに書かれているんだもの。
いつもなら、わっと飛びついちゃうところだけれど、
一緒に行きたい顔が脳裏にちらついちゃって、1歩を踏み出せなくなってしまっていた。
相手から見たらボクはきっと大勢居る友だちのうちのひとりで、
二人ででかけようって誘うのは迷惑かなぁ、とか
意識されちゃって、ぎこちなくなっちゃったらそれはそれでつまらない、とか
誘うとしたら、どうやって言えばいい?!とか
こんな些細なことで悩むなんて、真面目に考えすぎかも、とかが、とめどなく ぐ~るぐる。
…いわゆる「恋」ってヤツですかね?
あぁ、ちきしょう!
するっと動きたい、動きたいよぅ…!
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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旅行から帰ってきたボクは、結社に土産を置いて回ると、ゴーストタウンへ向かうことにした。
バイトを変わってからこっち しばらく経つけれど、どうも月のエアライダーというジョブが、しっくりこなくって。
憧れだけが先行しちゃったかな。
プールでもあまりに役立たずで、情けない。
もう少し何とかしたいから、とりあえず特訓(?)だ。
「まぁ、こんなもんだろ」
一緒してもらった仲間のおかげで、そこへ巣食うモノたちは一掃できた様子で、ボクらはほっと一息つくと、帰路につくため、踵を返す。
と、そんなボクの足元に、何かがまとわりついてくる気配を感じた。
ゴースト特有の、あからさまな敵意や怨念といった、あのゾッとするような感じではないにしても、普通ではない感触で。
…まぁ、ボクらのやってることがすでに、いわゆる「普通」とは言いがたいものなのだけれど。
そろり、と視線を落とすと一見かわいらしいネコがそこに居て、ボクを見上げている。
しかし、場所柄、それが生き物ではないのは、火を見るより明らかだ。
なによりそいつは、あろうことか服を着て二足歩行をしているのだもの…!
さながら、昔童話で読んだ「長靴を履いたネコ」だ。
…いや、むしろネコ版「三銃士」が、ぽんと本から飛び出してきたみたい。
「なななな…!?!?」
慌てすぎて言葉にもならず、イグニッションもできなくて、ボクは2,3歩後ずさる。
ボクの言葉にならない声に、先を歩いていたゼンが振り返った。
彼は、一瞬目を見開いたものの、年下とは思えない落ち着きぶりで、
「…渡月さん。その仔はケットシーだと思いますよ」
と言って、くすりと笑う。
え、え…ケットシー!?
ケットシーって、プールでもたまにみかける、踊るあのネコのこと?
(プールで見かける踊るやつは、ワンダラーと呼ばれる種類だけど)
言葉がうまく出てこず、口をぱくぱくさせるボクに、ゼンは
「きっと、渡月さんは、その仔に好かれたのですね」
とにっこり笑んだ。
ゼンのことばで徐々に落ち着きを取り戻すことができたボクは、
思い切ってケットシーと視線を合わせようと、しゃがみこんだ。
ボクの目をじっと見つめ返すその仔の目は、青く澄んでとてもきれいで、そこに敵意は微塵もないと感じた。
少し迷ったものの、
「ボクで本当にいいのなら、いっしょに、おいで」
と言いながらあごをなでると、いやがるそぶりも見せずにゴロゴロと喉を鳴らし、
なんと剣礼までして見せたではないか。
部屋へ帰宅し、ふと思った。
あぁ、名前。名前をつけてあげなくちゃ。
どんなのがいいかなぁ…
あの仔の瞳は、高い空の色を映したような青。
そうだ、青嵐にしよう!
碧く薫る風とともに吹くことを選んだ仔だもの。
とてもぴったりだとボクは満足した。
今日はもう遅いからボクは寝ちゃうけれど、
明日からはどこでも一緒だよ、あお。
posted by 渡月・トワヤ
at 01:07:09 │
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バイトから帰ってきたボクは、居住階よりひとつ下の階で、エレベーターを降りた。
(知る人ぞ知る)ブーメランのコレクションルームに立ち寄るためだ。
バイトを月のエアライダーに変えてから、実際どんな装備がボクには合っているのかなって、ずっと試行錯誤してたんだ。
ミシキからお下がりで貰った赤閃を身につけると、なんとなくいつも以上に軽やかに風に乗れるような気がした。
あぁ、ボクが想像してたのと、一緒!
それは銀誓館学園に入って本業やバイトのことを知り、エアシューズの存在を知った時のこと。
ボクのジョブではあいにくエアシューズを履けなくて、残念に思ったものだ。
きっとあの靴を履けば、ふんわりと空を舞うように風と共に駆けられるんだろうな、って、努々想ってた。
こんなふうにふぅわりと風に乗って、豪快な蹴りを食らわせるなんて…正直、気持ちイイ。
今日は新月だから、窓から流れ込む光は街の灯りか。
銀色の月の光に照らされるブーメランは、格別なんだけど…っと、本題からズレているかもしれない。
もらった赤閃を履いた戦闘スタイルも板についてきたところで、ボクの能力には少しの余力が残ってるように思える。
右手には初撃に先手を取りやすい、小回りの効くナイフを持っているのだけれど、これをもう少しカスタマイズしようと決めたのだ。あぁそれならば良いものがある…と思い当たり、今この場所に居るわけだ。
ボクのブーメラン愛用コレクションの中でも、1.2の歴史を誇る、-殯ノ笛- がボクを見てキラリと鋭く笑う。
そうそう、これこれ。
ボクはそぅっと手に取って確かめるように眺め、頷いた。
これはもともと、小型ナイフを模してしつらえたもの。
3枚一揃いだけれど、それぞれが鋭いナイフのようになっていて、おあつらえ向きだ。
部屋へ一旦戻ると、レポート用紙にナイフの仕様を書き記して、再び夜の街へ飛び出した。
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ナイフと、殯ノ笛と、少しの詠唱銀と。
いまだ、昼間の熱を帯びた風が吹きぬける屋上に上がり、百葉箱にそれらを仕舞って、扉を閉じた。
あとは、届けられるのを座して待つだけ。
受け継がれる精神。
闇を切り裂くのは、殯ノ笛の音。